2017年3月29日水曜日

春を告げる庭木

3月も後半に入り、本格的に春の訪れを感じます。

それは気温や太陽の光であったり、街を行く人の装いからも。

私はご近所の庭木から「春」を感じます。




トップバッターは「木蓮」や「辛夷」でしょうか。

年明けの寒い時からつぼみを膨らませ「あ、もうそろそろかな?」と

気持ちをほぐしてくれます。



白だけでなくピンクもありますね。




そして、3月に入ると「ミモザ」が。

割と大きくなる樹なのか数は少なくてもその存在感はすごいです。

鮮やかな黄色も心を明るくしてくれます。

リースにして室内で楽しむこともできますね。



他にも梅、桃、桜・・・

春を告げる庭木はたくさんあります。





こちらはひと足早く開花した桜(雛八丈桜)

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いつの時季でも花を咲かせる樹は気持ちを和ませてくれますが
春を告げる庭木は冬の寒さがあっただけにより季節感を感じるように思います。

これから庭造りを考えていらっしゃる方、いつかお庭を…という方は、
1本、春に開花する樹を加えてはいかがでしょうか。

街を歩きながら「いいな」と思う樹をリストアップしておくのもいいかもしれません。




2017年3月23日木曜日

木材を調達しに平林へ

大阪市の海側、南港の近くに平林という場所があります。
この辺りは昔から材木やさんや木材の加工屋さんが多く在ります。

昨日は学文殿町の家で使う木材を探しに平林にある中田木材さんを訪ねました。

全国各地に木材を調達しに出かけますが
国産材以外の広葉樹は大阪の業者さんを通じて段取りをします。

この日の目的は窓枠に使う枠材と、玄関の框材を探しに。



通常枠材は杉を使うようにしているのですが、
学文殿町の家は既存の枠がラワンなので合わせた方がいいか検討中。
ただ、ラワンは現在とても希少で高価なため、
代替品として「メラピー(マンガシロ)」という材を提案いただきました。
上の写真がそのメラピー。
木目は確かにラワンにそっくりです。
若干白いかな?と思いましたが焼けると上に乘っている角材くらいまで茶色くなるそうです。






中田木材さんにはこんな風に広葉樹の板がずらっと並んで売っています。
木が好きな人ならワクワクするような場所ですね。
大きなテーブルをつくりたいのでその材もちょっと下見しました。
次回、住まい手さんも連れてまた選びに行きたいと思います。





さて、玄関の框にはアメリカから来たブラックウォールナットをチョイス。
ブラックウォールナットは経年変化で色が褪せるのですが、
そういう変化も楽しみながら使ってみようと考えました。




オイル仕上げの状態をイメージするために水をかけて濡れ色に。
木目もしっかり現れます。
さてさて、じっくり眺めてこの3本のうちの1本に決めました!
仕上がりが楽しみです。






2017年3月8日水曜日

学文殿町の家-大工工事


学文殿町の家、先週から大工工事が始まっています。

先日投稿した水まわりの不朽に加え、南西の角は2階の梁(胴差)と通し柱が白蟻の被害にあっていました。


なかなかの喰いっぷり…泣

この箇所の被害は事前の調査で想定していましたが、予想よりも蟻害の範囲は広く、これからの改修方法に頭を悩ませます。

どうしてここまで大きな被害に及んだのか、それには原因があります。

もともとこの二階部分には小さな木下地のバルコニーが付いていました。


バルコニーと建物の接合部は阪神淡路大震災で亀裂の入ったまま22年放置されていました。その間、雨が降れば亀裂から雨水が染み込み、構造材はいつも湿潤状態。白蟻にとってはまたと無い環境だったのです。



このように、蟻害にあうのにはそれなりの理由があります。
湿度、養分、空気、この3つをシロアリは好みます。逆に言えばどれかが欠ければシロアリは近寄ってきません(他に食べやすい環境が沢山あるので)。
養分(木)と空気は取り除くことの出来ない要素ですから、やはり水分をコントロールする事が一番の対処法になります。

*適切な雨仕舞い
*定期的なメンテナンス

このふたつが重要です。
特にメンテナンスはとても大切です。今回の被害も亀裂を放置せず補修していれば起きなかったかもしれません。また、シロアリに食われても定期的な点検で早めに気付けば被害はもっと少なく済んだと思います。

なんだか癌のようですね。

でも本当に癌と同じで、早期発見であれば治療は軽くてすみます。

日頃から自分の家の痛み具合に少し目を配ることを心がけたいですね。



ちなみに、シロアリは木の柔らかい部分、美味しい部分を好んで食べて行きます。

硬い年輪のところを残し、でんぷん質の多い辺材(芯の周りの部分)を食べているのがよく分かる写真。

色々勉強になります。。

2017年3月2日木曜日

【ひとつ屋根の家】-静岡県浜松市②

※竣工から半年、竣工写真を撮りましたので改めて事例紹介を。


【ひとつ屋根の家(親世帯)】

「とにかく私たちは小さな家でいいから」

お会いするたびに、そうおっしゃるご両親。

とは言え、年を取ってから環境が変わるというのはストレスにもつながります。

なるべく前の家との変化が少なくなるよう、玄関やLDの位置は変えず計画しました。

次々と要望が出てくる息子さんご夫婦よりも、ご両親の家の方がより気を配ったのでした。







南東側より。

左のデッキ部が子世帯、右側が親世帯。









玄関を入るとちょっと不思議な空間。

ここは、玄関であり、応接室であり、お父さんの読書室でもあります。

実は普段家へは台所の勝手口から出入しているお父さんとお母さん。

玄関は使われていませんが、それでも玄関は南向きに、大きく、とのリクエスト。

お仕事のお客様や、親戚の方が来られた時、きちんとしたパブリックスペースは必要なのです。

とは言え、面積が限られた親世帯の家。

どうしたものか…と考え、いくつもの機能を併せ持った「土間リビング」をつくることにしました。

立派な松の丸太梁が正面に架かり、和紙に朱い漆を塗ったパネルをアクセントウォールとしました。









この漆パネルの壁の裏は洗面所、トイレ、お風呂、と水廻りがあります。














トイレの引き戸は杉の舞良戸(まいらど)。

昔からある個人的に好きなデザインです。

洗面、トイレには寝室からも直結できるようにしました。











































脱衣所の収納も造作でたっぷりと。

ガラスに見える部分はポリカーボネイト(ツインポリカ)という樹脂。

安全で軽い建具は使い勝手もいいのでおすすめしています。











































共有の和室を介して親世帯と子世帯はつながります。

法事や親戚の集まり、お客様の寝室に使う部屋ですが普段は娘さんの遊び場。

おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんの面倒を見てくれることも。

きちんと独立していながら5人家族の距離はぐっと近い住まいです。




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名称:ひとつ屋根の家

所在地:静岡県浜松市

延床面積:207.19㎡(62.67坪)


写真撮影:大関 正行氏 (一部、石牧真志氏 撮影)











【ひとつ屋根の家】-静岡県浜松市①

※竣工から半年、竣工写真を撮りましたので改めて事例紹介を。


【ひとつ屋根の家(子世帯)】

息子さんの結婚をきっかけに、実家を建てなおした二世帯住宅です。

工事中にお孫さんも生まれ、親世帯(父母)+子世帯(ご夫婦、娘)5人家族の家となりました。

真壁で木組みを現した親世帯、

大壁でスッキリとしたインテリアの子世帯、

玄関も水廻りもすべて別の2つの家ですが、外から見ると1軒の住宅のようです。

それは3つの勾配を持つ複雑な屋根がすべて繋がって「ひとつの屋根」で覆われているから。

三世代がちょうどいい距離で暮らせる家となりました。









北西側より子世帯の玄関アプローチを望む。







樹々の間を抜ける少し奥まった玄関。









玄関土間、ホールにある引き戸はどちらも納戸(下足収納)につながります。

土足でも上足でもどちらでもアクセスできるように。







納戸はさらにキッチンへもつながります。

日々の家事を効率よくまわす裏動線です。







キッチンはすべて造作でつくられたこだわりの空間。

ステンレス(バイブレーション仕上げ)とアイアン、

広葉樹(チェリー、クリ、ナラetc)を使いラフで重厚感のある仕上がりに。








お客さまの多いAさんのお宅、お友達はもちろん親戚の方も節目ごとに集まるそう。

多い時で25人(!)になることもあるとか。

たくさんの人が使うLDKは寛ぐ場をいくつか用意し、動線もふたつ以上確保、

ひとりでも大勢でも居心地のいい空間としました。









住宅で鉄骨階段を設計するのは実は初めての挑戦。

奥様から是非に!とのリクエストで張り切って考えました。

できるだけ軽やかに見え、毎日の使用に耐えられるよう。








2階は個室が3つ。

屋根形状が変わっているのでこんな屋根裏のような空間がうまれます。

壁の色も深いブルーに塗り、落ち着いて眠りに付ける寝室に。








寝室と子ども室をつなぐキャットウォーク。





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名称:ひとつ屋根の家

所在地:静岡県浜松市

延床面積:207.19㎡(62.67坪)


写真撮影:大関 正行氏 (一部、石牧真志氏 撮影)